〜言の葉の部屋〜
半神の願い scene-00
カチ コチ カチ コチ
時間は紡ぐ。
カチ コチ カチ コチ
時間は留まる事を知らず。
カチ コチ カチ コチ
終わりの見えない時間の中を。
カチ コチ カチ コチ
神々の戯れに翻弄される時間の中で。
カチ コチ カチ コチ
時間の終焉を望む者がいる。
「ありゃりゃ・・・どうしたもんかな」
男は頭をかきながら、目の前の光を見つめていた。
「まいったね、こりゃ」
わざとではない。
わざとではないが、この失敗は大きすぎる・・・かも知れない。
「ま、なんとかなるか?こいつの事だしな」
暗い闇の中で1人ごちる。
手を貸そうと思ったのは気まぐれかも知れないが、悪意は無かった。
目の前の光のこれからを見届けてみたくなって。
今度こそ、時の流れに抗う事が出来るのだと信じたくて。
それだけの思いで行ったというのに、肝心な部分で失敗してしまった。
「・・・大丈夫だよな。こいつは 」
闇に飲まれたその言葉に、ふわりと柔らかな気配が同意したと男には思えた。
支えてくれる人達がいるからきっと大丈夫、と。
「だよな。じゃ、頑張れよ!」
言うと男は闇の中から光を押し出す。
その光に最も相応しい場所へと。