海誓山盟 08
こまるのも。
おこるのも。
うそつくのも。
『お前達が大切だからだ。どうでも良い相手ならばその行動に困ったりせず放っておく。気にかける事のない相手ならば怒りを抱く事も無い。守りたい相手でなければ優しい嘘など必要ない』
いなくなるまえにはげおやじがいってた。
こまつがおれたちをたいせつにしてくれているのは、はげおやじにいわれなくてもしってたけどな。
「トリコとサニーはどうしてこまつさんにおこられるとうれしそうにするの?」
だっておこるときはおれだけをみてくれる。
みんな、じゃなくておれだけをみておこってくれる。
「ココはちがうのかよ」
「ぼくはおこられるよりほめられるほうがいいな。おこられるときってわるいことしてるときなんだよ?」
・・・てつだわないってわるいことなのか?
でもてつだうとこまつはこまったかおになる。
「なぁ・・・てつだわないがわるいことなら、こわさないってどうすんだ?」
こまつがこまったかおするのはおれがこわすから。
でもおれにはどうやったらこわさないのかわからない。
ココやサニーはこわさないのに。
「トリコはぼくたちよりちからもちだから、もっとちからをよわくすればいいんだよ」
「よわくって・・・どうしたらいいんだ?」
つよくならわかる。
いつもよりぎゅってしたらいいんだ。
でもよわくってどうすんだ?
「えっと・・・こわさないようにちからをちょうせつして」
「だから!ちょうせつってどうやんだよ!」
ちからのちょうせつってかんたんにできるのか?
おれだってこまつがこまったかおしないなら、てつだいだってするんだ。
「・・・・・・そうだ!ちょっとまってて」
ココはおれよりいろいろしってるけど、いいかたがむずかしいんだよな。
「トリコ、てひろげて」
て?
「・・・たまご?」
「じゃあ、ゆっくりそれにぎってみて」
ゆっくり・・・ゆっくり・・・って・・・
「めんどくせぇ・・・あ」
われた。
ぜったいわれるとおもったんだよなぁ・・・
「わったらだめだよ。たまごがわれるのはトリコのちからがつよすぎるからなんだから。ゆっくりにぎればわれそうになったときにわかるかなっておもったんだけど・・・」
・・・そっか。
ゆっくりじゃないとぜったいにわれる。
ゆっくりにぎって、たまごがわれないところでとめたらちからのちょうせいができたってことなんだ。
「ココってあたまいいよな」
「・・・こまつさんだったら、どうやっておしえてくれるかなってかんがえただけだよ。きっとこまつさんならめでみてぼくたちがわかるほうほうでおしえてくれるから」
「でも・・・まつ、こわいまつになる。れがたべものであそんだら、こわいまつになった・・・たまご・・・」
「「・・・あ・・・」」
サニーもぜったいにいたずらしないんだ・・・たべものだけは。
まえにあそんだらいつものおこってるかおじゃなくて・・・すっげぇこわかった・・・
「だいじょうぶだよ。トリコがわらなければおこられないから」
ココ・・・すっげぇえがおだけど、ぜんぜんだいじょうぶじゃないぞ。
おれ、わらないじしんねぇし。
もうわってるし。
でも・・・たまごがわれないようになったら、こまつのてつだいできるんだよな?
おれはおこられたいっておもってたのに、ココはちがった。
おれはおこられるのがわるいことをしたからだっておもってなかったんだ。
こまつがおれをおこらなかったのはおれがわるいことをしてなかったからなんだってしらなかったんだ。
だったら、おれもほめられるほうがいい。
ほめてくれるときのこまつはえがおだから。