海誓山盟 04
「なぁ!おまえなんでおれたちにいわねぇんだよ!」
「トリコのてはあかくならないの?」
みんなしんじゃうときはおなじだとおもってたのに。
トリコもサニーもおなじじゃないの?
「なんねぇよ!サニーはどっかへんなとこあるのか?」
「たまいたい・・・」
「たま?」
「あたまだって。トリコはだいじょうぶなの?」
ぼくたちのなかでいちばんおおきくなってるから、ぼくはトリコがさきにしんじゃうのかなっておもってたのに。
「な、なんもねぇよ!それよりココもサニーもなんかあったらちゃんといえよな!」
「トリコさんもですよ?」
トリコも?
「まったく。熱があるならちゃんと言ってください。最近、ボクに触られるのを嫌がると思ったら・・・」
「な、はなせよ!」
こまつさんにだっこしてもらったらぼくはうれしいのに、どうしていやがるの?
「まつ!れも!」
こまつさんのてはふたつ。
ぼくときょうだいはさんにん。
サニーはいちばんちいさいし、トリコがさいしょにしんじゃうっておもってたから、ぼくはいつもがまんしてたのに。
「ココさん。今トリコさんを寝かしたらココさんの手の事をお話しますから、少し待っててくださいね」
トリコがねたくないってこまつさんをこまらせてる。
「明日はトリコさんの好きなものを作ってあげますから、ちゃんと寝てくださいね」
どうしてトリコはこまつさんにわがままいえるのかな。
わがままいったらきらわれちゃうかもしれないのに。
トリコがしんじゃわないなら、ぼくはがまんしなくていいの?
わがままいってもいいの?
「ココさん?どうしました?」
「トリコだいじょうぶ?サニーもあたまいたいって」
「大丈夫ですよ。トリコさんの熱も、サニーさんの頭痛も、ココさんの手も。みんな、皆さんの身体が成長している証なんですから」
からだがせいちょう?
おっきくなるのとちがうの?
「ただ・・・ココさん、これは大切な事ですから良く聞いてくださいね。ココさんの手が赤くなるのはココさんの体の中にある抗体が原因なんです」
「こうたい?」
「ココさんの身体を守ってくれる力です。普通なら守ってくれるだけの力なんですけど、ココさんの体にはそれが沢山あって抗体と抗体が喧嘩しちゃう事があるんですよ」
ぼくのからだのなかで?
ぼくのなかにいるのに、ぼくのなかでけんかしてるの?
「喧嘩した抗体は守る力から傷つける力になってしまって・・・ココさんに『今、傷つける力になっちゃったから気をつけて』って教える為にココさんの手を赤くしてくれているんです」
ぼくはしらないのに、こうたいはぼくをしってるの?
「あかいて・・・こまつさんやトリコやサニーをきずつけるてなの?」
「違いますよ。もし、抗体が『傷つける力』になった時、ココさんの手が赤くならなかったらボクにもココさんにも『傷つける力になった』って解りませんよね?周りを傷つけない為の、優しい力なんです。決して、しんじゃう印しではありませんよ」
ぼくがぼくにおしえてくれた。
あぶないっておしえてくれた。
ぼくはきもちわるいっておもってたのに。
こまつさんがぼくにおしえてくれた。
ぼくのからだのなかの、ぼくがしらなかったこと。
ぼくはしんじゃったぼくたちにおしえてあげられないのに。
ぼくはもっとぼくのしらないことをしりたい。
いきるをあきらめたくないから。
もっとみんなといっしょにいたいから。
でも・・・
こまつさんにいったほうがいいのかな?
ぼくがぼくたちといっしょになったらしんじゃわないでおおきくなれるって・・・