〜言の葉の部屋〜

海誓山盟 02




 なかのそとはひろかった。
 ぼくのしらないひともいっぱい。
 なかからじゃわからない、へんなのもいっぱい。
 でも、ぼくをみるひとは、ぼくのきらいなめばかり。
「お前達には珍しいものばかりだろうな」
 なかのそとにはぼくたちとはちがう、きょうだいがいた。
 このこたちも、ぼくたちといっしょなのかな?
「これが外だ!」
 なかのそとのそとは、なかのそととちがう。
 なかのそとはおへやがいっぱいだったのに。
「見ろ、青空だ。あそこにある光が太陽。太陽が沈むと夜になり、空も青空から夜空にかわる。ん?あぁ、あの動いているのは雲だ」
 あおぞら。
 たいよう。
 よぞら。
 くも。
 ぼくたちのしらない、ぼくしかしらないそと。
「さて、許可がおりているとはいえ、反対派の連中が来ないうちにさっさと行くぞ」
 いくってどこへ?
 なかのそとのそとにきたのに。
 もっと、もっと、たくさんみたいのに。
「お前は随分と好奇心旺盛なようだな。こいつらなんぞ、まだ寝てるぞ?」
 はじめてはたのしい。
 ぼくがしんじゃうまえに、もっとしらないをしりたい。
「お前たちはこれから研究所の管轄を離れる。難しい話は解らんかも知れんが、お前達はワシの希望なんだと覚えておけ」
 なかのそとのひとはきらいだけど、いちばんえらいひとのてはきらいじゃない。
 あたまをぐしゃぐしゃってするのはちょっといやだけど。
 でも、きぼうってなんだろう?
「さぁ、ここがお前達がこれから暮らす場所だぞ」
 いっしょにかかえられてるきょうだいはまだねてる。
 しんじゃうのにずっとねてるなんて、ぼくにはもったいなくてできない。
ドンッ、ドンッ、ドンッ
 おおきなおとで、やっとおきたみたい。
 きょろきょろみてるけど、ここにつくまでにもっとしらないがいっぱいあったんだよ。
 あとでぼくがおしえてあげる。
「はーい・・・って、マンサム所長?!」
「突然すまんが、こいつらの面倒をみてくれ!なぁに、必要な手配はワシの方でしておいたから心配するな!」
 だれ?
 なかのそとのひととはちがうめ。
 ・・・おどろいてるのかな?
「トリコとココとサニーだ。では、頼んだぞ!」
「ちょ、マンサム所長!待ってくださいよ!!・・・ってもういないし・・・理由くらい説明してくれても・・・えっと、トリコさん、ココさん、サニーさんで良いんですか?」
 ぼくたちがうなずくと、ちがうめのひとはみたことないかおになった。
 このひとは、なかのそとのひととちがうの?
「はじめまして。ボクは小松です。理由は解りませんけど、ここじゃ寒いですから中に入りましょうか」
 て?
 ちがうめのひとの、いいにおいがするてがぼくたちのまえにある。
 どうすればいいのかな?
 さわってもいいの?
 いいにおいがするのに、ぼくがさわったらいいにおいがきえちゃわないかな。
「!!!い、痛いですよ!トリコさん!!ボクの手は食べられませんから!」
 いいにおいのてにぼくのきょうだいがかみついたのに、いいにおいのまま。
 なら、ぼくがさわってもいいにおいのままかな?
「ちょっと狭いですけど、我慢してくださいね」
 ぼくのてをいいにおいのてがぎゅってしてくれた。
 あったかい。
 ぼくのてとちがう。
 いちばんえらいひとのおおきなてともちがう。
「トリコさんもお腹がすいてるみたいですし、まずはご飯にしましょうか」


 みんなとおなじとろこにいったら、おしえてあげる。
 たいようとかあおぞらとか。
 ぼくたちにはぼくたちのほかにもきょうだいがいたとか。
 みんながしらないあったかいてがあるっておしえてあげる。




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