一期一会 01
今までなら、有り得ない反応だった。
珍しい食材に目を輝かせ、どんな危険地帯でも誘えば共に行くとか弱い身で着いてきた。
人の話を聞いていないのか、好奇心が先にたってしまうのか、命の危険に晒された事も一度や二度の話しではないと言うのに、誘えばどんなに忙しい時でも都合を付けてくれていた。
だと言うのに、此処暫くは誘っても「忙しいから」と断られる日々が続いている。
もしや自分だけが断られているのかと思えば・・・そうでは無かった事に安心しつつも、自分以外もやはり誘いを掛けていたのだと解り、密かに警戒レベルを上げる事にした。
が、それは今の状況が解ってからでも遅くは無い。
「幾らなんでも二ヶ月はなげぇだろ」
「珍しく何か隠してる感じもするしね」
「ん。オレの誘いを断るなんて十年早い」
男が3人、頭を付き合わせて内緒話をするかの如く声を潜めていた。
3人が3人とも体格が大きく目立つ容姿をしているのだが、道行く人はその存在にすら気付いていない。
それもその筈。
美食四天王と呼ばれる3人にとって人の意識から自分達の存在を消すなど朝飯前。
秘密裏に動こうと思えば、誰にも気付かれずに動けるのである。
「で、どうなんだ?」
「・・・いるね」
忙しいと言うだけで何も話してくれない相手に痺れを切らし、3人は気付かれない距離から家の中を探っていた。
実際に侵入しても気付かれない自信はあるのだが、流石にそれは気が引ける。
先ずは離れた場所から、と家の中の匂いを探れば何処かで嗅いだ事のある匂いがする。
周囲の人間やら動物やらの毛や持ち物を集めさせ、匂いを嗅ぎ比べてみるが・・・同じ匂いを発する物がない。
その為、今は直接中の様子を伺っているのだが。
「いる・・・けど・・・」
「「けど?」」
「何処かで見た事がある電磁波なんだよね」
匂いと同じで記憶に引っかかるものはあるのだが、それが思い出せずにいた。
「こうなりゃ、悩んでても仕方ねぇ!お前等も行くだろ?」
「たりまえだ」
「疲労の原因も気なるしね」
どんなに忙しくても疲労の色を滲ませた事の無かったと言うのに、表面上には見せずとも確実に溜めてしまっている。
原因があるのならば早々に取り除いて平穏を取り戻してあげたい、と思い3人が目指した先には、想像を絶する事態が待ち望んでいた。