海誓山盟 06
「家族ならば手伝いはやらんといかんぞ。ワシが言っているのは小松がお前たちに無理やり何かをやらせているか、ということなんだが」
「むりやり?」
「そうだ。お前達がもし研究所にいたなら、何をするにも研究所の人間が決めた予定通りにしなければならん。食事も運動も検査もな」
「・・・めんどくせ」
ココならだいじょぶかもしれねぇけど、おれにはぜったいむりだ。
「だから、お前達は幸せだと言っているんだ。小松はお前達のしたい事をさせ、興味を持った事を教え、普通の生活をさせている。お前達は・・・お前達のオリジナルであるこやつ等より幸せ者だ」
おりじなるよりしあわせ?
じゃあ、このむっさいやつはしあわせじゃなかったのか?
「おりじなるのぼくたちは、どんなひとなんですか?」
「そうだな・・・特殊な環境で育った為か、人に心を許さない、いつも他人と一歩距離を取っている感じと言えばいいか。最も、小松と出会ってからは他人との距離も段々と縮んできたようだがな」
「きょり?」
「たとえるなら・・・お前はワシが来た時に警戒しただろう?だが扉を開けた先にいたのが小松だったならどうだ?お前達のオリジナルは常に周囲の人間全てを警戒していた」
はげおやじがきたとき、みたことなかったからきけんだとおもった。
けいかいって、あいてがきけんだっておもうことなのか?
・・・それってすっげぇつかれる・・・おれだったら・・・
「なぁ、そいつらにこまつみたいなやついなかったのか?」
「周りに人間は大勢いた。勿論、お前達を育てている小松の様にこやつ等にも親代わりはいた。だがな・・・研究所では最後まで誰にも心を開かなかった。ワシが言うのもなんだがそれだけ、研究所という場所は酷い場所だと言うことだ」
だれにも?
「それって、おりじなるのおれはおりじなるのサニーやココもけいかいってのしてたのか?」
おれはこまつだけじゃなくて、ココやサニーもきけんだっておもってない。
きけんだっておもうのがけいかいだったら、おれはけいかいなんてしない。
「ばっはっは!お前は変な所が鋭いな!そうだ。同じ境遇という事で研究所の人間に対する態度とは違ったがな」
「・・・へんなやつら」
なんでけいかいなんてするんだ?
こまつはおれたちのことをかぞくだっていった。
おれとココやサニーとはきょうだいなんだっていった。
なのになんでだ?
「そう言うな。自分を人として見ない者達の心の方が、人として愛情を注いでくれる心を持つものより多かったのだから仕方が無い」
「・・・ぼくもけんきゅうじょのひとたちはきらいです・・・」
おれはけんきゅうじょってところがどんなところかしらないけど、ココのことはしってる。
ココはきらいとかいやだとかあんまりいわないんだ。
おれやサニーがいうと、そんなこといったらだめだっていうんだ。
なのにそのココがきらいっていうならきっとすっげぇいやなやつなんだ。
「そんな研究所の者がお前達を連れ戻せと言っているとしたら」
「ぜったいにいやです」
「おれも」
っていってもこのはげおやじならおれたちなんてかんたんにつれてけるんだろうけど。
いまのおれたちじゃこのはげおやじにかてない。
・・・おりじなるのおれくらいでかかったらかてるのかな。
「まつもいっしょ?」
「残念だが小松は一緒ではない」
「や!」
「ばっはっは!お前達がそう言うのは解っておったわ。連れて行きやせんから安心しろ。なんせお前達をここに連れてきたのはワシなんだからなぁ、ココ?」
「でもしょちょうはじっけんだっていってました」
「そんな細かい事は忘れろ!ワシがそう言わなかったらお前達はここにおらんのだからな!」
はげおやじがおれたちをつれてきた・・・でもここにいるってきめたのはおれたちだ。
こまつのこまったかおはみたくない。
けどいっしょにいられないほうがもっといやだ。
ココがまえにいってた。
こまつがいるから、おれたちがいるんだって。
よくわかんねぇけど・・・こまつのいないけんきゅうじょにいくのはいやだ。
いやなやつがいるけんきゅうじょにこまつをつれてくのもいやだ。
こまつのいないとこも、けんきゅうじょもおれのいたいばしょじゃない。
こまつがいて、ココがいて、サニーがいるばしょがおれのいたいばしょなんだ。
・・・でも・・・
こまつがいなかったおりじなるってどんなやつなんだろう・・・
しゃしんのこまつはわらってる。
しゃしんのおりじなるもわらってる。
こまつはこいつのこともおこったりするのかな・・・