一期一会 03
「おまえ!わるいやつだろ!でてけ!!」
トリコの膝丈くらいしかない小さな物体が懸命にトリコの足を押し返そうとしている。
「ココ!サニー!」
後ろにいた2人の名を呼ぶと、サニーの触覚が伸び相手を絡み取る。
そして動きを封じたところを狙ってココが毒を飛ばそうとしたが・・・
「3人とも!そんな事をしたら駄目ですって何度言ったら解るんですか!」
小松の怒声が響き渡った。
「え、あ、ゴメン、小松く
」
「オレじゃねーし!トリコが
」
ココとサニーの言葉が終わらぬうちに、ゴンッゴンッゴンッ、と痛そうな音が続いた。
「いいですか、トリコさん、ココさん、サニーさん。何度も言いますが、そういう事はしたら駄目なんです。皆さんの力は特別なんですから、他の人に対して使ったら駄目ですよ」
「・・・わるかった・・・」
「ごめんなさい・・・」
「もうしねーし・・・」
約束ですよ、と小松が笑顔を向けると無言で3人は頷いた。
「もう。トリコさんが扉を壊したりするからこうなるんですよ。ココさんもサニーさんもどうして止めてくれなかったんですか?それに来るなら来るで連絡くれれば良いのに」
「いや、その・・・それより、そいつ等なんだ?」
小松とトリコの間には小さな物体が3つ。
トリコもココもサニーもそれらの物体にとても見覚えがあった。
「トリコさんとココさんとサニーさんです」
ほらご挨拶をして、と小松は3つの物体を改めてトリコ達に向かい合わせた。
「こいつ、こまつのてきじゃないのか?」
不躾に人を指差しながら、納得のいかない表情の子供。
「はじめまして」
それとは対照的に丁寧にお辞儀をしているが、警戒心を全く解く様子の無い子供。
「・・・」
不貞腐れた表情で無言のまま睨み付けてくる子供。
トリコ達が怒られたと思った先程の小松の説教はこの子供達に向けられたものだった。
そしてその子供達の姿は・・・正しく20数年前の自分達の姿そのものであった。